第1回
平岡さなえから見た現代の住まい
2011.04.12 [平岡 さなえ]
みなさんの住まいはスッキリ片付いているでしょうか?
忙しすぎて机の上が山積みになっていませんか?机の上は、その人の心と頭を表すと言われています。
私は収納プランナーとしてたくさんの住まいを訪問し、片付かないという問題を解決してきました。その中で、さまざまな事を経験し、「片付け」は、奥が深いと実感しました。
「片付け」と聞くと、その辺の散らかっている物を整頓して収納場所に入れ込むだけの単純作業だと思っている人が多いのではないでしょうか。そうではないのです。「片付け」は、人生に関わってくる大切なことなのです。空間を見つめ直すことによって、心の問題や夫婦間、親子間の問題が浮き彫りにされます。これらの問題は、過去の自分と向き合い、物を手放すことで、解決することがあります。収納プランナーは、ただ単にお部屋の片付けをするのではなく、このように空間と共にお客様自身が良い方向に変化していくことをアシストする仕事です。
現代の人々は、あまりにも多くの物を抱えて生活しています。年数を重ねるごとに物は増えることはあっても、減ることはありません。現代の人々の暮らしは完全に「物」に支配されている状態なのです。
100年前の人々の暮らしを想像してみてください。
テレビで放映されている時代劇を見ると、押入れの中には薄い布団と家族の着物が数枚入っているのみで、その他には、使うだけの食器くらいしか持っていないように思えます。洗濯や掃除、料理に時間をかけることはあっても、片付けに時間をかけることはおそらく無かったに違いありません。
高度経済成長と共に巷には物が溢れ、消費は美徳とされました。人々は物を買い、蓄え、物理的に豊かになりました。
しかしながら、現代の暮らしはとても便利になった反面、多くの物が溢れることで窮屈になり、ストレスを抱えるものになっています。
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